教員が不足しているという話は、聞いたことがある人も多いかと思います。
全国で2000人近くの不足があるともいわれていて、とても深刻な問題だといえますね。
- 教員が不足すると、どうなるのだろうか?
- 現場ではどんな問題が起きるの?
上記のように考えている人に向けて、元教員の立場から記事を書いていきたいと思います。
3分程度で簡単に読むことができますので、ぜひ見てみてください。
教員が不足するとどうなるか

教員が不足すると、具体的には以下のようなことが起こると考えられます。
もちろん、すでに起こっている現象でもありますが、詳しく見ていきたいと思います。
1人ひとりの負担が増える
まずは1人ひとりがたくさん働かなければいけなくなります。
すでに人員不足で、管理職が教室に入って指導をしているケースなども聞きますね。
今でも教員を辞める人は多いですので、今後もこの流れは大きくなることが予想できるでしょう。
1クラスの人数なども20人台のケースもありましたが、おそらく今後は40人学級なども増えてくるはずです。クラスを見るだけの教員の数が足りないからです。
さらに、指導が大変なだけではありません。教員は「校務分掌」もこなしていかなければなりません。いわゆる授業以外の雑務や担当業務ですね。
この校務分掌についても、教員が不足すれば1人が多くの校務分掌を担当することにも繋がってきます。
学校によっては、1人の先生に対して負担の大きい業務と少ない業務を並行して持たせているケースもあるかと思います。しかし、教員が不足してベテラン教員が減ってくれば、ベテランの先生が受け持つ校務分掌はさらにハードなものになります。
負担がどうこうと言っていられないのです。
また、コロナ対策についても、今後はしばらく続くと考えられるでしょう。教員の負担は大きいままです。
質の悪い教員が増える
教員が不足するということは、本来であれば労働環境を改善すべきです。
働きやすい環境にして、より多くの教員が魅力を感じてもらえるようにするのが理想です。
そのようにして、教員の数が増えていけばすごくいいですね。
しかし、実際は応募できる年齢制限をなくしたり、免許制度をなくしたりしています。つまり、誰でも合格しやすくしているのです。
合格の倍率が下がれば、当然、質の悪い先生が合格しやすくなります。教育にとって悪影響が大きいともいえるでしょう。
おそらく、教員による不祥事が今よりも起きやすくなると考えられます。
また、採用倍率が高かった時は合格するために皆努力をしていたかと思います。つまり、必然的に「努力ができる人」が教員になれたわけです。
しかし、今後倍率が下がれば「楽に採用されそう」「楽に公務員になれそう」といった考え方の人が教員に増えてきます。
すると、テキトーに仕事をする教員も増えてきます。
上記の内容を踏まえると、職員室の雰囲気もどんどん悪くなってくるので、かなり悪循環だとも言えます。
指導力が下がる
今後、教員が不足すると学校教員の仕事の魅力もなくなってきます。
すると、勉強ができるようなエリート層は、教員の現状をしっかりと把握して、教員を辞めるようになります。
結果として、学校教員は「勉強ができない人」が集まってくると考えられます。
勉強ができない教員が、子供に勉強を教えるとどうなるでしょうか?結果として、子供も勉強ができないままである可能性が高いです。
全体的な指導力が下がってくるのです。
もちろん、すべての教員に指導力がないわけではないです。指導が上手な先生もいます。私も実際に現場でそんな先生を見てきています。
ただ、そういった先生も「授業準備」の時間がないのが現状です。
そのために、自分の力を出し切ることができなかったり、子供の自由な発想を聞くことができなかったりもしています。
こういった現状もあり、教員自体の指導力もどんどん下がっていくことは予想できるでしょう。
不登校が増える
上記で、質の悪い教員が増えてくるという話を書きました。
質の悪い教員が増えてくれば、影響があるのは先生同士だけではありません。当然、子供にとっても学校が楽しくないものとなってきます。結果として、不登校が増えます。
先生自身も忙しすぎて、子供に寄り添う余裕がなくなってくるのも1つの大きな原因です。
子どもは学校生活の中でいろいろな悩みをもっていたり、子ども同士のトラブルも多く合ったりします。ある意味仕方のないことですね。
しかし、それをしっかりと受け止めて聞いてくれる身近な大人(教員)がいないのは、子供にとっても精神的に大きな負担となってしまうのです。
いじめが増える
教員が不足するといじめも増えてきます。
不足することによって、学期の途中で先生がどんどん辞めていくことも考えられます。
せっかく先生と仲良くなってきても、途中で担任の先生が代わってしまうようでは、子供にとっても精神的にストレスです。
また、教員不足で多忙になっていることから、担任の先生も子供に対して強く接してしまう可能性があります。
先生のイライラが子供に伝わってしまうので、クラスの環境が悪くなって「いじめ」も起こりやすくなるのです。
また、いじめが起きる前には子供達が先生に何かを訴えている可能性がありますが、先生自身も余裕がないので子供に接することができません。
そのようにして、さらに状況が悪化していくのです。
教員の不足をなくすには

教員が不足していく状態を防ぐためには、どんな対策をとっていく必要があるのでしょうか。
以下のことを意識してやっていくと、状況が改善できることかと思います。
詳しく見ていきたいと思います。
働き方を変える
まずは、働き方を変えることですね。
働き方を変えるのは教員自身ではできないことでもあるので、ある意味仕方のないことかもしれません。
しかし、今の働き方を変えていかない限りは教員の不足を解消していくことはできません。おそらく、どんどん辞めていく人が増えるだけです。
働き方を変えるために重要になってくるのが仕事の内容を絞っていくことです。
具体的には「学習指導」と「生活指導」の2つにすることですね。
今は「パトロール」「事務作業」など教員以外でもできる仕事が多くあります。そして、これらの仕事の多くの時間が割かれているのも現状です。
しかし、これでは教員の魅力度をあげることはできません。
しっかりと先生がやるべき仕事に絞って、「学習」「生活」の指導に時間を使えるようにしていく必要があります。
給与を増やす
また、教員の給与を増やすことも重要になります。
今の先生は、給料が安すぎです。あの給料だと続ける人もかなり少ないと考えられるでしょう。
原因として考えられるのが「給特法」です。何十年も前に、教員が残業がほぼなかった時代に作られた法律が今でも受け継がれているのです。
しかし、今の先生は定時に帰れることは少なく、ほとんどの人が残業をしています。
給特法の基準からいくと、明らかに割りに合っていません。教員を辞めて他の仕事にいくのも当たり前のことです。
まずは、給特法を廃止してしっかりと働いた量に見合った給料を支払っていくことが重要です。
また、教員のモチベーションを上げるための工夫も必要になるかと思います。
たとえば、子供や保護者からの満足度アンケートをとって、優秀な人に給料に上乗せした金額を渡せるといいと思います。
特に公立学校では、教員のモチベーションを上げるための工夫が少なすぎです。
そして、休日出勤をした人や修学旅行の付き添いなどを行った場合にも、しっかりとした報酬を与えることが大切になります。
魅力的な教員数を増やす
上記のことが実現できれば、教員の志望者数も徐々に上がってくることかと思います。
そこで大切になってくることが、モチベーションの高い教員を採用すること、そして、モチベーションの高い教員が長く教員として働けるようにすることです。
今の学校現場の現状は、無能な教員が優秀な教員に嫌がらせをしたり、いじめをすることも多く、優秀な教員が働きにくい環境にあります。
優秀な先生ほど、早い段階で教員を辞めていたりするのです。
それでは、学校の現場はいつまで経っても良くなりません。
やる気のない、頑張る気のない先生が去るような職員室にする必要があります。
まとめ
教員が不足することは、先生にとっても子供にとっても悪影響なことが多くあります。
今回の記事を参考にしつつ、課題と向き合っていただけますと幸いです。
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